*東洋医学について

太極図(陰陽)
太極図(陰陽)
五行相生相剋図
五行相生相剋図

 


医学は手漕ぎボートのように、後ろを向いて前に進む

 

 

■ 3つのキーワード「陰陽」「五行」「気血水」

 

古くて新しい東洋医学。

原型は古代中国で生まれた治療法であり、現在は鍼灸、推拿(ついな)、漢方などに発展した医学です。
自然界のあらゆるもの、天体や植物、鉱物などの特徴を観察し、それの法則性を見いだしていく「自然科学」をベースにしています。
人間の中の自然(小宇宙)がバランスを崩した時に不調が生まれるため、一部をみるのではなく全体をみることで、原因を究明し治療します。
それを理解するために重要となるのは「3つのキーワード」です。

 

① 陰陽(いんよう)とは
全てのものが「陰」と「陽」の2つの性質(偶数)で構成されるという考え方。
陽の属性は明るく活動的で温かく、陰の属性は暗く静かで冷たいのが特徴です。
昼夜で例えると、昼が陽、夜が陰。
陰陽は対になっていて常にバランスを取りながら存在し、その本質を示したものが太極図です。
人体も矛盾しあう機能が有機的に統一された流動的な総合体なのです。


② 五行(ごぎょう)とは
自然界のあらゆるものを「木・火・土・金・水」という5つの基本的要素(奇数)に分けたものが「五行」です。
それぞれが特徴となる性質を持ち、相互に助け合う「相生(そうせい)」関係にあるとともに、抑制し競い合う「相克(そうこく)」の関係でもあります。


③ 気・血・水(きけつすい)とは
人間の身体を維持している3つの要素。

「気」とは目に見えないエネルギーのこと、

「血」は血液のように全身に栄養を与える物質、
「水」はリンパ液や涙・汗といった体液、潤す働きを指します。
いずれかが不足したり、停滞したりしてバランスが崩れると、心身のバランスに影響し病気になります。

 


■ 経絡・穴・鍼・灸

 

経絡(けいらく)
私たちの身体には12の経絡(けいらく)と365箇所の穴(つぼ)が存在すると言われています。
経絡(けいらく)とは気・血・水が運行するの通路、それぞれ内臓と繋がっています。

 

穴(つぼ)
穴(つぼ)は東洋医学の専門用語では「経穴(けいけつ)」と呼ばれており、刺激すると気血水が流通して痛みや痺れなどの症状を緩和し、弱った機能を回復させます。


鍼(はり)
穴の刺激には鍼を刺します。
「針を刺す」と聞くと痛いイメージがあるかもしれませんが、鍼灸で用いる鍼の太さや先端の形は注射針とは異なり、刺しても痛みはほとんどありません。

 

灸(きゅう)
鍼と同じく穴を刺激するのに用います。
皮膚の上に艾(もぐさ)を置き、火をつけることで、熱を用いて穴を刺激します。
艾(もぐさ)の原料にはヨモギの葉の裏にある繊毛が使われており、艾(もぐさ)の大きさや硬さによって熱さは変わります。
近年では「せんねん灸」などがあり、自分でお灸が簡単に出来ます。

 


■ 薬草

薬草にはそれぞれ、働き・寒熱・効く場所があります。
薬草は一種類で使ったり、漢方理論・経験によって組み合わせて使います。

 

 

■ 虚実・寒熱・表裏・陰陽


虚実(きょじつ)
虚とは元気の力が弱いこと。実は病気勢いが強いこと。


寒熱(かんねつ)

寒熱は病気の性質をみます。
寒とは「さむい」「冷える」などの病気の寒冷傾向の状態をいいます。
熱とは「あつい」「のぼせる」などの病気の熱性傾向の状態をいいます。

 
表裏(ひょうり)
身体の体表部付近を「表(ひょう・おもて)」、身体の深部、特に消化管の付近を「裏(り・うら)」といいます。
「表・裏」のいずれにも属さないものを「半表半裏(はんぴょうはんり)」といいます。
表の病は発散・発表、裏の病は降下、半表半裏の病は和解・調整が基本です。

 

陰陽(いんよう)

陰陽はすべてを統括する概念。
陰とはものごとの静的な側面を現し、水に代表される陰分や冷えの状態を指します。
陽とはものごとの動的な側面を現し、火に代表されるエネルギーや熱の状態を指します。

 


■ 臓腑(ぞうふ)

 

 心臓・肝臓・肺臓・脾臓・腎臓・(心包)
 小腸・胆嚢・大腸・胃 ・膀胱・(三焦)

内臓にはそれぞれ働きと‟こころ”があります。

 


■ 病邪(病気の原因)

 

①内因(ないいん)

精神的ストレス 
七情(しちじょう); 喜・怒・憂(うれい)・思(おもいわずらう)・悲・恐・驚
三毒; 怒り・執着・怠惰


②外因(がいいん)

1.六淫 風・寒・湿・熱・暑・燥 <ウイルス・病原菌>

2.食積<不消化、代謝不全、酵素の働きが弱い>

3.気滞

4.   瘀血

5.痰(水滞)

 

③病縁(びょうえん)
病気になる原因は、色々な要素が絡み合っています。

 

 

脈診
脈診


■ 四診(ししん)

東洋医学では、最適な処方を行うための「証(しょう)」を決定する際に必要な
「望診(ぼうしん)」「聞診(ぶんしん)」「問診(もんしん)」「切診(せっしん)」という診察方法があります。
これを「四診(ししん)」といいます。
「四診」は、器具を使わず医師の五感を駆使して診察する方法で、古来より病気が現われる前の「未病(みびょう)」段階で、
身体のバランスが乱れた状況を知るための診断方法として重要視されてきました。
まずは視覚によって情報を得る「望診」を行います。そして、聴覚と嗅覚を使って情報を収集する「聞診」、病状を聞く「問診」、手で身体に触れて情報を集める「切診(脈診・腹診・触診:胸、背中、手足など)」を行います。
これらの四診を駆使して病態がわかれば、「証」の決定もできます。
「証」を決定すれば鍼灸・薬草・漢方の処方の選択は自ずとできます。